ここでは視察や研修の報告書を掲載します


視察報告書(報告者:田中 健)

日時

平成25124

視察先

東京都台東区

視察内容

認定こども園について

報告

1.  視察の目的:平成18年に認定こども園法が成立後、知立市でもたびたび議論になってきたが、そのメリットや課題が明確にされてこなかった。台東区は法制定の5年前から、独自に幼保一体化園に先進的に取り組んでおり、様々な実績を上げてきている。今後、少子化の進む中で、子育て環境の充実と効率化の一助となる事業かを検証する。当日は施設の行事の都合で現地視察ができなかった。

2.  視察の内容:台東区議会の青柳雅之議長、教育委員会学務課こども園担当榊京子係長が説明、質疑応答をしていただいた。台東区は平成13年の「台東区教育ビジョン」の答申の中で、幼児教育や子育て支援の充実の視点から、幼保一元化を視野に入れた「幼児総合園構想」(仮称)が提言され、平成14年から2年間、モデル事業として隣接する公立幼稚園と公立保育園の一体化園の運営を開始した。平成18年の「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な推進に関する法律」(認定こども園法)の施行に伴い認定こども園として整備を行い、幼保連携型の「石浜橋場こども園」を平成20年に開設。その後、廃校となった小学校の施設を再利用し、公設民営の保育所型の「ことぶきこども園」を平成21年に開設した。この公設民営型は指定管理者制度をとっており、平成26年に同じ形で認定こども園を開設する予定。

幼稚園と保育園を一体化させるメリットは、お互いの良いところを活かしあい、一貫した幼児教育・保育が行える。保育園の視点から見ると、親の環境に係わらず幼稚園と同じ教育を受けることができる。また、幼稚園の視点から見ると、料金を払えば預かり保育をしてもらえる。

台東区では平成21年度に保護者の就業形態や子どもの保育状態に係わらず、幼児期においては発達段階に応じた保育・教育を着実に行っていくことが重要であるという認識に立ち、双方の教育内容を見直し、幼児教育の充実を図るため、保育園と所管の担当課を教育委員会に移管した。平成22年度には幼稚園・保育園・こども園の枠を越え、公立・市立の垣根を越えて共通の認識に立った教育を推進するとともに、小学校教育との円滑な接続にも焦点を当てた「幼児教育共通カリキュラム」を策定した。平成23年度には幼稚園・保育園・こども園のあり方を検討するための検討会を設置し、平成24年に提言が行われた。

3.  視察の所感:もともと出自の異なる2つのものを1つにするということは、様々な障害や困難が想像される。同じ環境にいても保育と教育では料金も時間も異なる。子育てに対する保護者の意識にも大きな乖離があり、様々な行事への係わり方にも差が生じている。それを大きな問題としないために現場で様々な努力がされており、小さなトラブルはいくつかあったようだが、大きな問題には発展していないようである。

管理運営組織としても、教育出身者と保育出身者で格差や派閥を生まないよう注意を払っており、公設公営の幼保連携型では各教室に幼稚園教職員と保育士を両名配置しており、また公設民営の指定管理者では、私立幼稚園連合会関係者が中心になって構成されており、幼稚園職員にも全員保育士資格を取らせている。なお、この団体は子育て支援センターの指定管理も請け負っている。

しくみとしてのメリットは理解できたが、運営上の障害は現行法の中では十分予想される。知立市においても子育て環境の充実を図る中で、公設民営の認定こども園が一番理想的な運営方法であると感じた。

また、少子化の中で効率的な運営を行うことで、公立保育園の事業縮小も図ることができ、予算的なメリットも見込まれる。真の子育て支援への取り組みの一環を目の当たりにし、今後も他市も含めて継続して調査が必要な事業である。

 

 

視察報告書(報告者:田中 健)

日時

平成25125

視察先

東京都葛飾区

視察内容

学校地域応援団について

報告

  1. 視察の目的:知立市も各学校においてさまざまな学校支援活動が行われているが、活動もバラバラであり情報も共有されず、お互いの相乗効果も発生していない。また、行政からの支援もまちまちで、それぞれの団体の事務局が行政にある既存の支援から受けられそうなものを見つけ出し、それぞれ申請して行っているという不効率なものである。葛飾区ではそれらを教育委員会が事務局として一貫して総括し、学校教育が抱える課題に対して様々な団体や人が経験や知識を集結し、地域が学校を応援することで豊かな教育環境を整える事業を行っている。
  2. 視察の内容:葛飾区役所の教育委員会事務局地域教育課小曽根豊課長に説明していただいた。学校地域応援団は、各学校長の学校経営方針に基づき、これまで学校・家庭・地域が一緒に築き上げてきた支援活動やボランティアとの連携を、より強化する方向へ再構築していく。地域の人材を活用することで、学校の教育力を高め、各学校の特色や工夫を生かした教育活動を推進する。事業計画や協力体制の内容は、学校、保護者、地域の代表、ボランティア団体の代表が、「地域教育協議会」で話し合い、決める。学校とボランティアの仲介、調整を行う「地域コーディネーター」が支援活動を進める。この事業において要ともいえる地域コーディネーターは区の教育委員会から委嘱を受けた青少年委員が勤めているケースが多く、この青少年委員は本事業以前から青少年の健全育成のために東京都内の各自治体で規則により定められている制度であり、各学区に1名ずつ選出されている。地域に根付いた青少年委員が学校地域応援団の地域コーディネーターとして采配を揮い、学校と地域、ボランティアを結び付けているが、この人の力によるところが大きく、逆に青少年委員が必ず地域コーディネーターを勤めなければいけない義務もないので、まだ実勢できていない学区に関しては、このコーディネーターを引き受ける人が見つからないという現実もある。

施策の実施状況としては平成20年度よりモデル事業として小学校3校からスタートし、21年度10校、22年度18校、23年度21校、24年度28校と進んできている(下記表のとおり)。しかし、小学校全49校中19校、中学校全24校中9校と全73校中の28校なので、実施校はまだ半分以下という状況である。

 

平成20年度

平成21年度

平成22年度

平成23年度

平成24年度

小学校

3

8

13

16

19

中学校

0

2

5

5

9

合計

3

10

18

21

28

3. 視察の所感:事業内容は学校によって異なっているが、校庭の芝生の管理から、農業体験の支援、登下校の安全ボランティアや総合学習の指導、読み聞かせなど、知立でも実施されているようなものばかりであるが、これを教育委員会が教育環境整備の一環として捉え、所管として予算措置も行い事業化していることに意味がある。それによって、特定の人に依存しないが故の事業の標準化、長期化が図れ、また意欲があってもきっかけが無い人や地域に対する後押しともなっている。知立市においては、内容が学校応援活動でも、内容によって所管する担当課が異なり、事務局の作業が煩雑化している。この面倒くささを取り除くことだけでも、環境整備につながり、現在各学校で行われている活動がさらに活発化する。またコーディネーター会議の開催などにより情報の共有化を図り、良い活動の水平展開や、ブラッシュアップが期待できる。ぜひ本市においても実現させたい事業である。